連日厳しい暑さが続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
去る7月19日(土)に、長崎大学でオープンキャンパスが開催されました。県内・県外問わず、たくさんの高校生や保護者の方、先生方が構造工学コースのブースを訪れて下さいました。
今年の構造工学コースのオープンキャンパスでは
① 補強した梁の繰り返し載荷実験 実演
② 揺れを吸収してエネルギーに変える
③ 暮らしの安全を支えるコンクリート技術とは
④ 橋の種類と力の伝達の仕方、変化の測定法
⑤ 建築デザインにおける設計と模型
⑥ 航空機、自動車、船舶の事故対策防止
⑦ S-cafe特設展示
の7つのブースが各研究室から催され、構造工学コースで学習する内容のごく一部ではありますが、実際に見学・体験できる内容となっていました。
今回は、S-cafeの活動の一つとして、オープンキャンパスでの特設展示をさせてもらうに至った経緯や製作過程、当日の様子などをレポートします!!
S-cafeでは、オープンキャンパスに来てただいた方々に構造工学コースに興味を持ってもらうためにはどうしたらよいかを話し合いました。
グッズの製作や新聞の配布等様々な案が出ましたが、「体験型」のブースによってより分かりやすく構造工学コースで学ぶことを実感出来るのではないかと考えました。
そこで、【構造工学コースで学ぶことが出来る内容をより直感的に理解してもらえるもの】をコンセプトに
「発泡スチロールブロックを使用したアーチ橋」のブースを出させて頂きました。
このブースに決定した理由は、長崎県を代表する構造物である『眼鏡橋』をモデルとすることで、アーチ橋の構造的な強さが県内外の学生にとってイメージしやすいのではないか?と考えたからです。
初めに、眼鏡橋に近い形に近付けるため、図面を書き、計算をしながら形状や寸法を決めて、アーチ橋の耐荷力(人の体重など、荷重に耐える力のこと)をあげる工夫をしていきました。
作成中、苦労したことは一つ一つのブロックの寸法決めです。
最初の段階では大まかな寸法を決め、まずは製作してみよう!と試作品の製作に取りかかりました。
発泡スチロールをヒートカッターで成形していきます。
成形したものを実際に組んでみると、思ったほど安定感がなく、発泡スチロール同士がずれてしまいました。
その原因を考察していくと、発泡スチロールブロックの一つ一つの形状が微妙に違っていることが発覚しました。
一つ一つの精度が悪いと、アーチ橋全体としての精度は非常に悪いものになってしまうことが分かりました。
そこで、再び話し合い、どのような形状がより効率的かつ美観に優れているのかを考えました。
最終的にブロック(台形)の寸法は上底が50mm、下底23.75mm、高さ150mm、幅450mmのブロックに決定しました。
この寸法は実際の試作品と図面から総合的に判断して決めました。
こちらは作製風景です。
このようにみんなで協力しながらアーチ橋を製作していきました。
寸法が決定したので本番用の製作に取り掛かりました。
一つ一つの精度が一番重要だと試作品の失敗から学んだので、
精度を重視し、角度の誤差は±0.5°以下に抑えました。
この成形作業は、三年生のメンバーが中心となって頑張ってくれました。
その完成品がこちらです。
実はこのブロック・・・
接着されていないのです!
構造工学コースで学ぶ“構造力学”という講義で、
構造物に力が加わると、構造物のどこに・どのような力がどのぐらいかかるか学ぶことができます。
その知識を使い、人が上に乗ったらどこに力がかかるのかを計算して、アーチ橋の土台も作製しました。
実際のモノ創りで自分たちが学んできた知識を使える“喜び”を感じることができました。
ブロックを組み立てただけで十分乗ることが出来ましたが、本番用のものは、安全のためにすべり止めシートを間に挟みました。完全に接着はしていません!
オープンキャンパス当日の写真です。
発泡スチロールのブロック単体だと、頼りなく感じ、人が乗っても大丈夫なのかな?と心配・・・ですが!!
発泡スチロールブロックをアーチ状に組み立てれば、2人乗っても、大丈夫!!!
構造工学コース長の吉武先生もブースに立ち寄ってくださり、高校生に負けないくらいのまぶしいスマイルをいただきました!!!!
改良に改良を重ねたため実際に完成したのはオープンキャンパス前日の夜でしたが、頑張って製作した分達成感は大きいものでした。
後日もっと一つ一つブロックを大きくしたら、精度の誤差が少なくなるのでは?と他コースの先生からアドバイスも頂きました。ありがとうございます。
頂いたアドバイスもふまえ、改良して来年度に活かせたらと思います。
オープンキャンパス当日はたくさんの高校生、保護者様やお子様、そして先生方に実際に乗ってもらい、楽しんでいただけました。
アーチ橋を体験して楽しんで頂いている姿を見て、とても嬉しくなりました。
そしてやはり『モノ創りって人を笑顔にできる素晴らしいモノ』だと改めて実感しました。
そして『もっとたくさんの人に構造工学コースのいいところを伝えたい!』と思いました。
一部ではありますが各研究室の様子もご覧ください!
オープンキャンパスでは各研究室のブースもブース以外でも大変賑わっていました。
今回このようにオープンキャンパスで有意義な活動ができたのも、一重にご協力して下さった先生方、S-cafeのメンバー、訪れて下さった皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。
担当 吉武研究室 修士1年
田川夏湖
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