研究室・教員紹介

居住環境学・建築環境工学

研究室の概要

温暖地住宅における温熱環境の実態と快適温度に関する研究

快適な温熱環境を設計するためには,住宅における快適温度を明らかにする必要があります。快適温度は実験室実験やオフィスでの実測調査等から明らかにされてきているものの,実際の住宅ではまだ明らかにされていないのが実情です。住宅においてはさまざまな環境調整行動による適応がなされるため,快適温度が実験室実験のそれとは異なり,許容範囲が広い可能性があります。本研究では,温暖地の住宅における温熱環境や快適温度を実測調査と申告調査によって明らかにします。

乳幼児に適切な熱空気環境に関する研究

大人に比べて体温調節機能が未発達で外界からの影響を受けやすい乳幼児は,室内で過ごす時間が長いにもかかわらず,熱環境や空気環境に関する具体的な基準が示されていません。本研究では,乳幼児を取り巻く熱空気環境の実態を明らかにすることを目的として,保育園を対象とした実測調査を夏期,冬期に実施し,基準値策定のための基礎資料を整備します。

保育所測定風景

写真1 保育所の室内環境測定風景

 

植物のグリーンメンタルヘルスケア効果に関する研究

植物には心理的効果や温湿度調整,揮発性有機化合物等の化学物質除去効果といったグリーンメンタルヘルスケア効果(以下,GMH効果と呼ぶ)があると言われています。このような効果を実証するために,植物を用いた実証実験を実際のオフィスにて実施しています。具体的には,異なる植物の条件下における室内環境やオフィスワーカーの生理・心理反応及び知的生産性の測定を行い,その効果について検討しています。

GMH実証実験の様子

写真2 GMH効果に関するオフィスでの実証実験の様子

 

家族類型別・建物種別省エネルギー手法の解明

日本の世帯数の将来推計によれば、一人当たりのエネルギー消費量が多い単独世帯が2006年以降最も多い家族類型となっており、今後も増加することが予想されています。効果的なエネルギー削減手法を提示するためには、家族世帯や単独世帯などの家族類型別に省エネルギー手法を提案するのが望ましいと考えます。省エネルギー手法として、ライフスタイルへの配慮によってエネルギー消費を抑える方法の効果について検討しています。住宅に限らず、大学や学校など、さまざまな建物のエネルギー消費量の実態把握を通じ,省エネルギー手法を建物種別に解明していくことも重要です。大学に関しては,本学を対象に,エネルギー消費特性を解明し,エネルギーの使用実態に基づいた省エネルギー方策の提案を目指すための調査を進めています。

九州地域の気候特性を考慮したパッシブデザイン手法に関する検討

建物の省エネルギー化を図る上で自然エネルギーの活用が有効ですが,そのためには地域の気候特性を正確に把握することが必要です。九州地域の気候特性に焦点を当て,任意地点における各地域の気象要素のカラーマップを作成し,気候特性の特徴ごとにカテゴリー分けして各カテゴリーにふさわしい効果的なパッシブデザイン手法について検討しています。本研究は,設計時においてパッシブデザイン手法を選定するための基礎資料を提供することを目的としています。

2月の気温

図1 九州地域における2月の平均気温のカラーマップ

 

ゼミについて

研究テーマは基本的に各自の希望を踏まえつつ,上記のような研究の枠組みの中で進めていきます。本研究室では,実測やアンケート調査などの手法を用いて研究することが多く,一人ではできない研究がほとんどです。したがって,本研究室の学生はお互いに協力して他の学生の研究の手伝いをすることになります。学生同士,他の学生が取り組んでいる別の研究テーマを経験することができるため、建築環境について幅広い知識を身に付けることができます。

教授
源城かほり Kahori Genjo

メッセージ

地球環境問題が深刻化する現在、エネルギー消費量は可能な限り抑制していくことが必要です。でも快適に過ごしたいし、我慢はしたくない。そんな我儘な人間を取り巻く住環境を巡る諸問題を解決すべく、建物の性能や設備だけでなく、居住者のライフスタイルに着目した研究に取り組んでいます。最近では、植物によるメンタルヘルスケア効果に着目したオフィスを対象とした研究も進めています。今後も、健康で快適で知的生産性が高い居住空間について研究していきます。

詳しいプロフィール
おすすめの書籍など
  • 夜は暗くてはいけないか 暗さの文化論
    乾正雄
    現代の都市や建物は明るくなりすぎたのではないか、明るいことはよいことなのか。ブリューゲルの「雪中の狩人たち」に見るヨーロッパの冬空やロマネスク教会内部を例に、場所や空間の暗さについて評価しています。2011年の東日本大震災以降、照明を間引くなど、節電が積極的に行われました。1998年に発刊された本書ですが、明るさの価値を再検討すべきであることについて、早くも指摘がなされています。
  • 環境建築ガイドブック
    日本建築家協会 環境行動委員会編
    全国各地の環境に配慮した建築228点が紹介されています。地方ごとに主要都市の気候や特徴がまとめられ、各建築には写真入りで環境調整技術の見どころが記されていますので、環境に配慮した建築を勉強したい人にはお勧めのガイドブックです。
  • 研究室・教員紹介

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