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住宅へのメートル法の導入

日本といえば畳。畳と言えば尺貫法。そして畳のサイズが地方ごとに違い,江戸間,中京間,京間などありますが,住宅にメートルグリッドが使われるようになったのはいつなのでしょう?私に答えはまだありません。

私の経験では,住宅でメートルグリッドを見たのは社宅,三菱鉱業の昭和12年築の炭鉱住宅がはじめてでした。おそらく社宅にはそれ以前からあったと推察されます。そして先日,海軍大尉が建てた長崎市の昭和9年の和風住宅で,測れば測るほどメートルグリッドと思われる物件に出会いました。

ウィキによるとメートルは18世紀末のフランスで考案。地球の北極点から赤道までの子午線弧長の1000万分の1として定義されました。日本は1891年(明治24年)の度量衡法で尺貫法と併用する形で導入され,1921年(大正10年)に尺貫法を廃止。本格的な普及はメートル法の使用を義務付けた1951年(昭和26年)の計量法以降とあります。

大正期から昭和初期頃,産業界といえば科学的管理が紹介・研究され,能率が唱えられていた時代。メートル法も貿易上,効率上,経営者らは導入を検討しています。

しかし住宅はどうかというと大工による施工が一般的な時代。社宅といった生産施設にメートル法の導入はあっても,一般住宅(建築家設計等は除いて)への導入は戦後だと思っていました。ところが海軍大尉の住宅・・・設計した人も大工も不明。

いずれ解き明かしたいと思っていますが,情報をお持ちの方はお寄せください。

プロフィール

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教授 安武敦子

2010年より長崎大学へ着任。建築計画や設計製図を担当。

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