皆さんこんにちは!
玉井研究室 修士1年の中島です。
今回は、先日7月18日に行われたオープンキャンパスの様子を紹介させて頂きます。
今年も暑い中、たくさんの高校生や保護者の方が参加して下さいました。
今年の構造工学コースのオープンキャンパスでは、以下の7つのブースで実験や展示が行われました。
- 補強した梁の繰返し載荷実験 実演 (玉井研究室)
- 揺れを吸収してエネルギーに変える (吉武研究室)
- 暮らしの安全を支えるコンクリート技術とは (原田研究室)
- 橋の種類と力の伝達の仕方、変化の測定法 (松田研究室、森田研究室)
- 建築デザインにおける模型づくり (安武研究室)
- 航空機、自転車、船舶の事故防止対策 (勝田研究室)
- シェル構造の強さと美しさ (S-cafe特別展示)
どのブースもたくさんの学生で賑わっており、興味津々で質問してくれる高校生がたくさんいました。
そんな中、高校生があまりにも真剣な眼差しで話を聞いていたからか、時間をオーバーしてまで熱く研究を語ってしまう勝田研究室の大学院生もいました(笑)
物事を分かりやすく相手に伝えるということは非常に難しいもので、それが専門分野の研究となってくるとなおさらのことです。
研究について高校生に説明していく中で、私たちも自分の研究の理解を深める機会になりましたし、学部4年生にとっては、11月に予定されている卒業研究中間発表会に向けての良い練習になったと思います。
ここからは、私たちS-cafeの展示ブースについて簡単に紹介したいと思います。
例年、構造工学コースを志望する高校生は建築志望の学生が多いため、同コースで学ぶことが出来る建築構造の内容が含まれたものが良いと考え、題材として「シェル構造」を取り上げました。
私たちは、「シェル構造の強さと美しさ」について紹介したのですが、「シェル構造」と言っても、それがどのようなものなのかイメージできない方が多いかと思います。
例えば、貝殻、卵の殻、亀の甲羅などは外敵から身を守るために、比較的薄い構造にも関わらず、壊れにくい性質を持っています。
この構造を利用したもの、平たく言うと、薄い曲面の板からなる建築構造のことを「シェル構造」と言います。
こちらが今回作成したポスターです。「シェル構造」について簡単ではありますがまとめさせて頂きました。
それでは、平面と曲面の力学的な違いはどこなのでしょうか?
ポスターの左上の写真を拡大します。
これが平面と曲面の違いなのですが、2つの内どちらが強いか、皆さんはすでに知っていると思います。
仮に、皆さんが定規を壊せと言われたときにどのようにして壊すでしょうか?
このように曲げて壊すと思います。
このように引っ張って壊す人はいませんね。
上の写真は、定規の厚さ方向で考えて、下半分には圧縮力が、上半分には引張力が作用しています。つまり、定規に対して曲げが作用している状態であると言えます。
一方、下の写真は、定規の長手方向に引張力だけが作用しています。この力の受け持ち方はシェル構造のそれと同じだと言えます。
それでは、実際の構造物に用いられるシェル構造はどのようなものがあるのでしょうか?
一概にシェル構造と言っても、たくさんの種類を有しています。
オープンキャンパスの際に展示した模型とともに紹介させて頂きます。
写真の中の矢印は,構造物の自重に対して作用する圧縮力と引張力を示しています。
・3連円筒シェル
・円錐シェル
・偏平な球殻
・半球ドーム
・鞍型シェル
・双曲放物線シェル
・鞍型交差シェル(複合シェル)
・円筒+半球(複合シェル)
これらはシェル構造の代表的なもので、特に複合シェルは数限りなく存在します。
矢印は面内に作用する、引張力と圧縮力を示しています。
それぞれのシェルごとに力の受け持ち方が違いますね。
ここがシェル構造の面白いところだと思います。
下記のオープンキャンパス用に作成したポスターに、これらのシェル構造が用いられている構造物の例を示します。
シェル構造の最大のメリットは、屋根自体が外力を受け持つため、柱を少なくできるところにあります。
そのため、柱間のスパンを長くする必要があるドームなどに多く用いられます。
ここまで「シェル構造」について紹介させて頂きましたが、「シェル構造の強さと美しさ」についてお分かりいただけたでしょうか?
このオープンキャンパスを通して、少しでも構造工学コースに興味を持って頂けたならば幸いです。
最後に、今回このようにオープンキャンパスで有意義な活動ができたのも、一重にご協力して下さった先生方、S-cafeのメンバー、訪れて下さった皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。
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