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伝統的な木造住宅

仕口

住まいにおいて木が好きという人は多いと思います。しかし木造の住宅は?というと,どんどん減っており,30年前は80%以上が木造住宅でしたが,現在は60%を下回っています。

私は風土に根ざした伝統的な住宅が後世に残って欲しいと願う一人ですが,総務省統計局の平成20年の住宅・土地統計調査によると,昭和25年以前の戸建て木造住宅は約148万戸(約5000万戸中)になっています。

昔の住宅の多くは釘を使わない伝統的な構法で建てられています。今の木造住宅はというと,多くは釘や金物(ボルトやプレート,ブレース等)で柱と梁をガッチリ固め,地震に強さで対抗しようというものです。釘を使わない昔の住宅は,地震には動きながら・揺れながら力を吸収します。

写真は150年程前に建てられた民家の大黒柱と梁の接合部です。釘を使わないため柱を巧妙に切り欠き,梁を差し込み用に加工して組み上げます。ぱっと見ただけではどういう力学を考えてこの形状になったのか分かりません。

日本では最近,伝統的な木造性能をきちんと評価するような動きがあります。昔の知恵を活かしながら,現代の技術と融合していくと思います。
まずは昔の経験知の把握をということで,これから部材を分析していきます。

プロフィール

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教授 安武敦子

2010年より長崎大学へ着任。建築計画や設計製図を担当。

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