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スタンダードについて

クリスマスに某有名百貨店のwebショップでケーキを注文したところ,「指定日に来ない,冷蔵配達のはずが常温で配達,ケーキは転倒。常温だったのでケーキは崩壊」というお粗末な状況で届けられました。百貨店に対する信頼にもお金を払っているのにと,一応状況を電話したところ,「代替品をすぐに発送します」という返事。てっきり運送会社が届けにくるのかと思いきや,「九州では調達できないので夜になりますが本店から配達します」と連絡。夜9時にケーキショップ本店(東京)から開発本部の方が持参されました。

経緯を伺うと,百貨店より状況について連絡があり,福岡店で手配を試みるも在庫がなく,東京本店でケーキを焼き,焼いていたら長崎便に間に合わず,福岡便に乗って福岡空港からレンタカーで長崎へ。その方はケーキ2ヶと焼き菓子を持参されました。4000円のケーキに対して,代替品代,飛行機代にレンタカー代,福岡での宿泊費,その方の人件費・・・とざっと10万円程度。自分の想定では,最低が「謝るだけ」,よくて「お金の返金」と考えていただけに,これがこの業界の常識なのかと少々衝撃を受けました。

建築概論(オムニバス)で,E.ホールの「隠れた次元」をもとに,文化によって振る舞い等の作法が異なることを講義してますが,同じ日本文化に生きていてもスタンダードが異なることを実感し,逆の立場でこういったリスクを負えるだろうかと考えました。

山岸俊男氏の「安心社会から信頼社会へ」で,日本人は相手を判断して信用しているのではなく,このコミュニティでは悪いことはしないだろうという安心のなかで信用を置いている。盲目的に信用する社会で大半が生きているので,コミュニティ外の人が登場したときに,信用に足る人か判断できない。相手のことを観察し,判断する訓練がなされていないので,新しいコミュニティでは無批判に信用して騙されたりしてしまう。といった内容でした(多分)。

地縁が薄れたり,国際化したりする現在では,いろんなスタンダードがあること,自分と異なる文化性をまとった他者を判断していくことが求められると専門家としても考えているのに,ついつい無思考になりがちな自分に警鐘を鳴らされたような事件でした。

プロフィール

安武敦子
准教授 安武敦子

2010年より長崎大学へ着任。建築計画や設計製図を担当。

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