こんにちは。吉武研究室 修士1年の田川です。
今年も残すところ後わずかとなり、寒さも一段と厳しくなって参りましたが、いかがお過ごしでしょうか。
本日は私が所属している構造工学コースの振動学研究室である吉武研究室について簡単にご紹介させていただきます。
これから構造工学コースへの入学を希望して下さる皆様や、学部生のみなさんの研究室選びにお役立ていただければと思います。
吉武研究室では振動現象に関する様々な研究を行っています。
構造物というと、建物や橋が思いつきますが、構造工学コースでは、これらに加えて自動車、航空機、船舶も構造物と捉えています。
建物や橋は止まって動かない物であり、振動しないように思えますが、地震や風で振動してしまいます。
自動車、航空機、船舶はそれ自身が動くことにより、エンジン、路面、相対的な気流、波などにより、これらも少なからず振動してしまいます。
このように構造物は振動環境にさらされているため、振動現象は大変重要です。
振動現象は構造物の耐久性、安全性に大きな影響を与えます。また振動や騒音が快適性にも影響を及ぼすこともあります。
例えば、近年は超高層の構造物の建造が増えています。
そこで今回は横浜ランドマークタワーを例に、動吸振器を用いた制振についてご説明したいと思います。
構造物には「固有周期」という揺れの一往復分の時間がそれぞれに固有の値として存在します。
これは、構造物の質量や構造などによって決まってくる値です。この固有周期は質量が大きい程、高さが高い程長くなります。
横浜ランドマークタワーのような構造物は高層であるために固有周期が長いことも特徴の一つです。
この固有周期に近い周期で、建物に風や地震などの外力が加わったときに、建物の上の部分は大きく揺れることになります。
この大きな揺れは建物自体の安全性や中で過ごす人の安全性、快適性を考えると非常に重要な問題です。
そこで、このような構造物には「動吸振器」という、対象の構造物の振動を肩代わりして振動してくれる装置が設置してあります。
動吸振器を設置せずに、構造物の揺れを少なくしようとした場合には、
建物自体の質量や高さなどを変更したり、補強したりしなければならず、簡単に変更することはできません。
このような変更と比較して、動吸振器は簡単に効率的に対象の構造物の振動を抑えることが出来ます。
http://hamarepo.com/story.php?page_no=2&story_id=1366
こちらが実際にランドマークタワーに設置されている動吸振器です。
黄色い部分の質量が構造物の代わりに振動することでランドマークタワーのような大きな構造物の振動を抑えることができます。
ランドマークタワーにはこの動吸振器が2基設置されています。
世界的に見ても高層の建築物は増えているので、このような制振方法は今後も利用されていくことと思います。
また、動吸振器は建築物だけではなく、様々な機械構造物などにも利用できるので、より効率的で多様な性能が求められていくことと思います。
吉武研究室では、動吸振器を用いたものだけでなく、様々な方法で構造物の制振について研究しています。
代表的な研究は、自動車の変速機の振動現象の解析や大型モータや舶用大型ディーゼルエンジンの制振などです。
研究室の過去の就職実績としては
トヨタ自動車、日産、ホンダ、マツダ、トヨタ自動車九州、スズキ、いすゞ自動車、ダイハツ工業、ブリジストンなどの自動車業界にはほぼ全社に就職しており、
三菱重工業、中菱エンジニアリングなどの船舶や航空機系、さらに、
日立製作所、東芝三菱電機産業システムなどの電機系と幅広い業界へ就職し、研究室で学んだ振動に関する知識を仕事に活かしています。
会社との共同研究や特許の出願など、実用的な研究も多く、研究にやりがいを感じます。
一方で、先輩と後輩の仲も良く、明るく楽しい研究室です。
振動現象に興味がある方は是非吉武研究室で一緒に楽しく研究を行いましょう。
寒さも厳しい折、皆様におかれましてはお風邪等召されませぬようご自愛ください。
それでは、良い年をお迎えください。
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