研究室・教員紹介

建築計画・都市計画

研究室HP

研究室の概要

住環境・公共施設のマネジメント 都市の景観構造や変容プロセス 伝統的な家屋や集落の研究
災害復興・地域の再生, 災害遺産の保全

近年の日本は災害が頻発しています。東日本大震災は記憶に新しいですが,震度6以上の地震を年表に落とすと,ここ20年の件数は異常なほどです。災害に遭うと,災害からの復興も大変な作業ですが,災害以前に抱えていた問題も表面化します。関わっていた中越地震の被災地では過疎化や高齢化が20~30年一気に進みました。復興にあたっては災害前の問題解決,そして新しい価値を考えなければいけません。
地域の成り立ちや変遷を明らかにしつつ,住民の方とワークショップを行ったりしながら,再生への道を考えていきます。

近年,再生にあたって災害遺産(爪あと)をどう保全するのかを,中越地震や雲仙普賢岳災害の災害遺産の調査をもとに考えています。

伝統的家屋や景観の維持

観光で日本的な風景に惹かれるように,日本各地には魅力的な伝統的な建物や景観が残っています。しかしそれらの継承は安泰ではありません。文化財として守れるのはほんの数%。文化財ではないけれど後世に資産として残すべきものや,地域の資産として大切なものが所有者の方や地域の努力で残されています。文化財未満の保全方法や活用を所有者の方や地域と考えていきます。
残すためには民家の十分な耐力(地震や暴風に耐える力)も必要なので,伝統的な民家の構造特性についても事例収集や実験から明らかにしています。

集合住宅-労働者住宅-から学ぶ

日本における集まって暮らす形態の一つに社宅があげられます。長崎には炭鉱住宅や造船の社宅などが今なお残っています。
東京や横浜に1920年代を中心に建設された同潤会アパートは,都市型の先駆的アパートとして位置づけられ,長い歴史のなかで居住者らに育まれた保全のルールや管理する方法等,培われたツールやスキルは枚挙に暇がありません。一方,労働者住宅は福祉的ではなく生産の一貫として供給されてきました。自由がないとも言えますが,管理者が介在する集住形式はもっと検証されてよいと思っています。管理者が果たした役割を聞き取り調査や文献をもとに検証しています。

また炭鉱都市を,人口縮小期の最新事例として捉え,その変遷や経年的な課題を東京大学や北海道科学大学と共同で研究しています。

住環境のマネジメント

中越地震の被災地,新潟県長岡市小国町で復興計画のなかで,オープンガーデンを行いました。そのオープンガーデンはメディアにも取り上げられ,来場者が増えています。庭を開き外部の人が来るということ-は,煩わしさの一方で,人に見られることで,自分たちを相対化させるいいきっかけになっています。個々が外へ開くことの重要性を感じているところです。長崎では深堀町で景観をキーワードに住民の方や市役所の方と街歩きやワークショップを行い景観ガイドラインを作成しました。

http://www.city.nagasaki.lg.jp/sumai/660000/667000/p004116.html
多様な主体が混じり合うことが住環境にとって大切という仮定のもと,今後も学生と地域のコラボレーションなど考えていきたいと思っています。

ゼミについて

これまでの主な活動

ゼミは春合宿に始まり,全員で設計コンペへの参加,まちづくり支援,共同調査を行いながら進めます。個別の研究は住環境を軸に個々でテーマを考え,私と学生は研究者として対等という立場で研究を進めます。

個人では長崎県や県内の市町村の審査会のメンバーをしながらアドバイスを行ったり,著作を通して発信したりしています。

【書籍】

・現代集合住宅のリ・デザインー事例で読む[ひと・時間・空間]の計画ー
 内容:社会のフロー社会からストック型社会への変化のなか,住宅も「つくる」から「維持活用する」へ。そんな背景を受けて再利用,建て替え,コンバージョンなど集合住宅のストック活用を集めた本。/彰国社(2010年9月)日本建築学会編

・建築系学生のための卒業設計の進め方
 内容:卒業設計ではこれまでの授業とはレベルの異なる設定や進め方が求められます。取り組む学生へ視点の提示や先輩たちの進め方事例などを紹介した本です。/井上書院(2007年11月)日本建築学会編

・コンパクト設計資料集成「住居」
 内容:この住居編は伝統的な住宅から,世界の住宅,最新の住宅までをテーマごとに整理し一覧したもの。後半は住宅内の物品の必要サイズ(例えばキッチンの大きさや作業するのに必要なスペースなど)をまとめたページから構成されています。おおよそ10年に1度改訂されるため10年は使える本です。前版は学生時代に「高い!」と思いながら買って10年使いました。/丸善(2006年3月)日本建築学会編

・事例で読む現代集合住宅のデザイン

研究成果と実社会の設計をつなぐ本として企画されたもの。研究成果がなかなか設計の現場で活用されなくなった昨今,実務をする人を主眼としながら,授業で集合住宅に取り組む学生も視野に入れて作りました。/彰国社,(2006年9月)日本建築学会編

いずれも日本建築学会の委員会で取り組み出版したもので共著です。

過去の論文テーマ
  1. 戦後に形成された斜面住宅地の変遷 : 大手町1丁目,2丁目,3丁目,愛宕2丁目について
    松吉 紀昇 , 安武 敦子
    日本建築学会研究報告. 九州支部. 3, 計画系 (53), 173-176, 2014-03-01

  2. 市街地における空き家の流通支援と移住者属性 : 尾道市・南島原市の事例から
    猿渡 広 , 安武 敦子
    日本建築学会研究報告. 九州支部. 3, 計画系 (53), 169-172, 2014-03-01

  3. 幕末から明治期における屋外広告物の表示方法 : 通り景観のコントロール手法の基礎的研究
    安武 敦子
    日本建築学会学術講演梗概集 2013(建築計画), 759-760, 2013-08-30

  4. 長崎市の都市形成に関する研究
    篠崎 翔太 , 安武 敦子
    日本建築学会研究報告. 九州支部. 3, 計画系 (52), 489-492, 2013-03-03

  5. 斜面地の市街化と空洞化のプロセス : 北大浦地区を対象として
    橘 勢人 , 安武 敦子
    日本建築学会研究報告. 九州支部. 3, 計画系 (52), 429-432, 2013-03-03

  6. 幕末から明治期における屋外広告物の実態
    秦 雄斗 , 安武 敦子
    日本建築学会研究報告. 九州支部. 3, 計画系 (52), 265-268, 2013-03-03

  7. 伝統木造軸組住宅の力学的特性の把握に関する基礎研究 : その1既往研究のテーマとその到達点に関する考察
    井本 亮介 , 安武 敦子
    日本建築学会研究報告. 九州支部. 1, 構造系 (52), 737-740, 2013-03-03

  8. 浄土真宗寺院の本堂の平面構成と機能の変遷 : 地域施設・空間としての寺院に関する基礎的研究
    安武 敦子
    日本建築学会学術講演梗概集 2012(建築計画), 261-262, 2012-09-12

  9. 長崎市の斜面住宅地の形成過程と生活実態
    川並 亮太 , 安武 敦子
    日本建築学会研究報告. 九州支部. 3, 計画系 (51), pp 569-572, 2012-03-01
  10. 過疎地における空き家活用と空き家化に関する考察
    高出 瞬 , 安武 敦子
    日本建築学会研究報告. 九州支部. 3, 計画系 (51), pp 301-304, 2012-03-01
  11. 伝統的木造住宅の改変の要因と手法に関する考察
    松平 貴史 , 安武 敦子
    日本建築学会研究報告. 九州支部. 3, 計画系 (51), pp 149-152, 2012-03-01
  12. 被災した中山間地集落の復興に関する考察 その1 : 活動の記録と評価軸の検討
    安武 敦子 , 松川 淳子
    日本建築学会学術講演梗概集. E-2, pp553-554, 2008-07-20
  13. 同潤会柳島アパートの建替事業前後における町会組織活動の持続性に関する研究
    近藤 安代 , 大月 敏雄 , 深見 かほり , 安武 敦子
    日本建築学会計画系論文集 73(628), pp 1181-1188, 2008-06-30
  14. 応急仮設住宅における居住環境改変とその支援 : 「仮設カフェ」による実践的研究
    長谷川 , 岩佐 明彦 , 新海 俊一 , 篠崎 正彦 , 安武 敦子 , 小林 健一 , 宮越 敦史
    pp日本建築学会計画系論文集 (622), pp 9-16, 2007-12-30

yasutake 准教授
安武敦子 Atsuko Yasutake

メッセージ

建物を建てるとき、その土地の歴史や自然をきちんと読み取ることは、とても大切なことです。
そうした情報は、文献や古地図などはもちろん,建物や土地の人の話のなかにも価値あるものが秘められています。
建物の建てられた背景を読み取ったり,人の言葉に耳を傾け、記憶を引き出す。
そんな作業もこの研究の魅力のひとつです。

詳しいプロフィール
おすすめの書籍など
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