長崎市には、市で唯一の城下町である「深堀」という地区があります。
この深堀地区は、長崎さるくのコースの一つとしても設定されており、長崎では珍しい武家屋敷の石塀群や、きれいな水路を活かした美しいまちなみが特徴的です。
私の所属する安武研究室では、深堀における景観まちづくりの取り組みについて、平成23年度から平成25年度の3年間にわたって共同研究を行っておりました。
そのご縁もあり、先日は学生がまちづくりのファシリテーターを勤めました。
今回は簡単にではありますが、深堀についてご紹介させて頂きたいと思います。
深堀は鎌倉時代に深堀能仲(ふかほりよしなか)が地頭として着任した時に、地名を自身の姓である深堀に変えたことからその地名の由来とされています。
深堀氏は鍋島家の家臣となったことにより鍋島に改名し、その後も鍋島深堀家がこの地域を治め、自身の居城を中心とした城下町を形成しました。
その後は昭和31年に長崎市に編入され、昭和40年代頃に深堀の海面埋め立て等を経て現在の市街地が形成されました。
深堀を語るうえで欠かすことのできない存在、そう、それは…
恵比須様!!!
この写真は深堀貝塚遺跡資料館にある恵比須様です。
漁業、商業の神様として古くから親しまれているそうです。
恵比須様には彩色が施されており、通りに祀られている恵比須様は年に数回お彩色し直されているとのこと。
この色合いの恵比須様が見られるのは今のうちですよ!!
他にも、一般家庭の敷地入口にも恵比須様が祀られている様子が見られました。
それぞれの家庭の幸せを願って祀られているそうで、現在60体も確認されているそうです!!
深堀では他にも、風情ある美しいまちなみを見ることができます。
水路がとてもきれいです。奥には深堀神社を望むことができます。
アコウの木です。長崎市の指定天然記念物に指定されています。
美しい樹形を保っています。
立派な塀ですね。城下町であることを再認識させられました。
このように、武家屋敷通りを始めとしてまちなみの中に当たり前のように存在している塀が、深堀地区の歴史の深さを物語っているように感じました。
安武研究室で行った研究を少し紹介すると、深堀の景観をどう守っていくのかを考えるにあたり、現在の景観の評価をまち歩きをしながら探ったり、ワークショップを開催して指針を作成したりして、ガイドラインを作成しました。
景観に関しては、2005年に景観法が施行され、長崎市においても特色ある地域はその景観を守るために「景観形成重点地区」として指定され、深堀も武家屋敷を中心に指定されました。
町内会の方々、市役所の方が熱心にまちづくりに取り組んでいらっしゃいます。
これまでに開催された景観のワークショップに私たち学生も参加させていただきました。
参加させて頂くたびに、「深堀って熱いな!活発だな!」と感じております。
住民の方々一人一人が、議題に真剣に向き合っておられるのが印象的でした。
深堀のまちづくりに微力ながら関わらせていただくことを、とても光栄に思います。
10月には深堀くんちもあり、歴史的なお祭りに深堀もさらに賑わいを見せることでしょう。
みなさんもぜひ深堀に足を運び、癒され、歴史を感じてみてはいかがでしょうか。
安武研究室 修士1年
貢 宏美
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