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JSCA九州 25周年記念事業 構造デザイン発表会

こんにちは、梅雨空が続く毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

ご覧になられている皆様は、JSCAのことはご存知でしょうか?

JSCAとは、一般財団法人 日本建築構造技術者協会(Japan Structural Consultants Association)の略称で、建築構造に関する高度な技術と豊富な実務経験を有する建築構造技術者の団体です。JSCAの会員数は約4000人で、東京本部と全国8支部で活動しています。

 

JSCA 九州がイベントを開催します。

来る平成26年7月11日に、JSCA九州 25周年記念事業 構造デザイン発表会が大分県 大分市 全労済ソレイユにて開催されます。今回は2週に渡って、構造デザイン発表会について皆様にお伝えしたいと思います。

 

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今回、取材に協力して頂いたのは、JSCAの会員の今林さん、浅田さん、重松さん、安達さんです。現役で活躍されている構造技術者の方々です。重松さんと浅田さんは、長崎大学の先輩でもあり、既にご退任されている、修行先生、小森先生の研究室に所属されていたそうです。

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  • 写真は、25周年記念事業のWGの活動風景です。私も1度だけ参加させて頂きましたが、斬新な意見や、的確な指摘が多く出ていました。

 

A1.第1週目である今回は、 ①建築構造について、 ②JSCAについて 聞いてみたいと思います。構造デザイン発表会についてではありませんが、普段は聞くことができない貴重なお話になっています。建築を目指している学生も、そうでない学生も是非読んでいただければと思います。

 

①  建築構造について

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Q1.

 建築における構造の役割は?

A1.

建築は意匠的なデザインだけでは成立しません。建築は、自重を支え、積雪・暴風・地震などの外乱に耐えることで、初めて成立します。構造設計者とは、建築物に加わる力を理解し、個々の建築物に最適で安全な構造形式を提案し、そこに暮らす人々に安心を与える仕事です。さらに、構造が建築空間を決定付けることも多く、社会に上質な建築空間を提供する使命も併せ持ちます。意匠設計者との上質なパートナーシップを築ける、デザイン力に優れた構造設計者が求められています。そのためには、構造だけでなく、建築デザインさらには様々な芸術や文化やスポーツなどに造詣を深め、総合的人間力を高める努力が大切と思います。

  

Q2.

建築構造のおもしろいところと、辛いところを教えてください。

A2.

設計業務全般に言えることですが、建築は一つとして同じものはありません。常に目新しい建築と出会い、毎回新しい体験ができるという、非常に面白い仕事です。また、設計には明確な解は存在しないので、設計する建物に対して最も適していると思う解を自分で決定できるという、難しいながらも非常にやりがいのある仕事です。また、構造設計者には建築・構造・設備そして施工の総合的なバランスを高める技術力が必要で、サッカーで言う“ボランチ”のようなおもしろさがあると思います。

辛いところは・・・どんな仕事にも辛いことはあると思いますが、構造だから辛いと言うネガティブな気持ちになったことはありません。

 

Q3.

構造デザインとは?

A3.

建築には「空間の流れ」が大切ですが、構造は「力の流れ」を的確に設計に反映することが重要です。そこに構造デザインが生まれ、奇をてらうものではありません。昔はアーチやシェルなど、力の流れに明快で美しい構造デザインが多くありました。昨今のコンピューター技術の向上により、構造的に合理的な形態にこだわらずに自由な形も実現できるようになり、悪く言うと、何でもできる時代になってしまいました。建築を取り巻く社会環境も大きく変遷しており、建築が文化から商品になりつつある危険な状況も見受けられてきていると感じます。その様な中で大切な事は、「建築の美しさは意匠と構造的合理性の狭間にある」と言う故・坪井義勝先生(国立代々木体育館の構造設計者)の言葉を再認識して、建築の良識として、上質なバランスの取れた構造デザインを実践することにあります。体育館や競技場のような構造が主体となる建物だけでなく、例えば個人住宅のようなどのような建築においても、この構造デザイン力は大切と思います。

 

Q4.

建築構造のやりがいは?

A4.

おもしろいところと同じですが、意匠設計者など様々なパートナーと、同一の目標(こんな空間を作りたい)に向かって設計プロセスの過程で様々な議論や提案をぶつけ合い高めていくことが最もやりがいを感じるところです。そして、自分の手がけた建築構造空間で生活や活動する一般の人々が、笑顔で気持ち良く、建物を愛してくれることが一番の幸せと感じています。

 

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②  JSCAについて

Q1.

JSCAの役割は?

A1.

構造設計者に対しては、技術力向上のための講習会の実施、最新技術情報の配信、構造設計者同士の交流の場の提供を行っています。他にも、JSCA賞という建築構造設計の分野で優れた成果を発揮した人を表彰したり、構造デザイン発表会という構造設計者が自分で設計した作品において創意工夫した点などを紹介し、会員相互で切磋琢磨して構造設計技術の研鑽(けんさん:学問などを深く究めること)を図るイベントなどを行っています。社会に対しては、一般市民に対して地震時の安全対策などの講座開設、建物の構造に関する相談会実施、地震発生後の建物応急危険度判定の実施などの活動を行っています。

 

 

Q2.

JSCA建築構造士とは?

A2.

JSCA建築構造士は、豊富な専門知識と経験を基に優れた技術力を用いて、構造計画の立案から構造の設計図書までを統括し、構造に関する工事監理も行うなど、構造設計一級建築士の中でも特に建築構造の全般について、的確な判断を下すことのできる技術者です。JSCAでは優れたJSCA建築構造士を推奨していくために資格認定試験を行い、技量・資質の判定を行っています。現在登録されているJSCA建築構造士は全国で約2000人です。

 

 

Q3.

JSCAの凄い(良い)ところは?

A3.

別に凄くはないですが、全国の構造技術者が集い、自己研鑽・社会貢献・地位向上に努めて幅広く活動しています。それに積極的に参加することで、見識や交流が広がり、それが自身の仕事にダイレクトに貢献している事は良いことと思います。

具体的には

  • 情報配信により、最新の情報を入手できる。
  • 講習会により、技術力の向上が図れる。
  • 同様の業種の方と交流することで、会社だけでは入手し得ない情報や知見が得られたり、構造設計における悩みなどを話すことができる。

 

 

Q4.

JSCAのこれからは?

A4.

建築構造には、時代にかかわらず普遍的なものと、時代に応じて変化していくものがあると思います。それを大切にしながら、若い方々に構造の未来を感じて頂けるように、次世代への良い伝承を行い、引き続き活動を続けていけたらと思います。若手構造技術者の参画と活躍にかかってくると思います。

 

 

取材にご協力頂いた、今林さん、重松さん、浅田さん、安達さん、本当にありがとうございます。

お忙しい中、多くの質問に丁寧に回答してくださり感謝の気持ちでいっぱいです。

 

記事を読んでくださった皆様、いかがでしたでしょうか?

私は、取材を通して構造設計の奥深さを感じました。構造設計は力学の問題を解くことではありません。しかし、私は、授業の中で力学の問題の解を求めただけで満足していました。構造工学コースで何を学ばなければいけないのか、構造技術者として何が求められているのか、もう一度考え直したいと思います。

構造工学コースの皆さんはどうでしょうか?

モノに作用する力の流れが読めますか?

最適な構造形式を提案し、構造物を合理的にデザインしなければならないと考えたことがありますか?

建築デザインや芸術、文化、スポーツに触れることで自分の感性や総合的な人間力を養っていますか?

これらの事柄を考え、身につけるチャンスが身の回りに多く存在していても、自分のものにすることは簡単なことではないと思います。大分で開催されるJSCA九州 構造デザイン発表会は構造技術者の方々の話を聞くことができ、講義の中だけでは学ぶことができないノウハウを学ぶことができる絶好の機会になると思います。時間がある人は是非、足を運んでみてください。

 

 

Next…!!! 

次回は、JSCA九州 25周年記念事業 構造デザイン発表会の中身についてインタビューしていきたいと思います。

最後までご覧頂きありがとうございました。

 

担当 勝田研究室 学部4年 小原 貴也

プロフィール

小原貴也
小原貴也 修士1年

長崎大学大学院 工学研究科 総合工学専攻(構造)修士1年 勝田研究室
趣味は、スノーケリングです。海の中には感動的な世界が広がっています。
写真は宮古島でダイビングした時のものです。 

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