2章 橋の種類


橋はいろいろの観点からその分類を行うことができます。 使用目的による分類、使用材料による分類および構造形式による分類などが主なものです。


2.1 使用目的による分類

鉄道橋   道路橋   人道橋   水路橋  

橋はその使用目的により鉄道橋、道路橋、人道橋、水路橋、ガス管橋などに分類されます。 鉄道橋はいうまでもなく鉄道のための橋であって、大重量の車両を標準にしているので、 鉄道橋はすべての橋のうちで最もその耐力が大きくなります。 道路橋は一般の道路交通の用に供されるものですが、近年、重車両交通の通過や交通量増 大などにより構造材の経年劣化が進み、補修・補強の必要な橋が多くでてきました。 特に海岸地帯でのコンクリート橋の塩害による早期劣化(写真2-1)が社会問題となっています。

写真2-1
塩害によるコンクリート橋の劣化

人道橋は作用荷重が小さいため、世界中でユニークな橋が数多く建設されています。 S.カラトラバの設計によるMERIDA橋(写真2-2)や Prof.J.シュライヒによって設計されたMax-Eyth-See橋(写真2-3)などの人道橋は芸術作品ともいえます。 カラトラバはパリで芸術を学んだ後、チュリーヒ工科大学で構造を学んでいます。 シュライヒ教授はドイツのシュツットガルト大学のコンクリート講座の教授ですが、ネッ カースタジアムなどの建築構造物も設計し、さらに数多くの吊形式の人道橋(写真2-3)も 設計されています。 1999年4月に文部省の海外研究開発動向調査という目的でドイツStuttgart大学を再訪問し,シュライヒ教授に最近の橋のことについてインタビューしてきました. 写真2-3aはシュライヒ教授の研究室でのもので,私が手にしているのは, シュライヒ教授から戴きましたAlan Holgate 著の「The Work of2 Joerg Schlaich and his Team」です. 日本でも大分県別府市にイナコス橋(写真2-4)を設計された 川口衛先生(法政大学建築学科)も建築の先生でありながら、 土木構造物としての橋の設計も手掛けられ、土木学会賞を受賞されています。

写真 2-2

写真 2-3a

写真 2-3

写真 2-4

MERIDA橋

シュライヒ教授研究室にて

Max-Eith-See橋

イナコス橋

文献15

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文献5



2.2 使用材料による分類

 
木橋 
石橋
コンクリート橋 (RC橋,PC橋)
鋼橋
軽金属橋
FRP橋

橋は使用材料の種類により、木橋、石橋、コンクリート橋、鋼橋、軽金属橋、FRP橋に分類されます。

コンクリート橋には鉄筋コンクリート(RC)橋とプレストレストコンクリート(PC) 橋の二種類があります。 コンクリートは圧縮に対しては強い材料なのですが、引張力はその1/10程度の強度しかあ りません。 この欠点を補うため鉄筋を引張側に併用した橋がRC橋で、PC橋はピアノ線のような引 張強度の高い鋼材であらかじめコンクリートに圧縮力を導入して、これによってコンクリー トに見かけ上の引張抵抗を与えたコンクリート橋です。(図2-1)

鋼橋とは鋼板、形鋼、棒鋼や鋼管のような鋼材を加工・組立てて作ったものです。 高度に品質管理された日本の製鉄技術と自動車、造船などの加工・組立技術が橋にも生か されています。 かつての造船所のドックで鋼橋が製作されることも少なくありません。

軽金属橋とはアルミニウム合金のような軽金属材料を用いた橋で、橋の自重を軽減できる 長所があります。

また、宇宙・航空工学の分野で開発されたカーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維 などの新素材とエポキシ樹脂などからなる複合強化プラスチック(FRP)が、ゴルフやテ ニスなどのスポーツ用品などにも使用されていますが、軽量化、耐久性に優れているため 将来の超長大橋の建設のための一役を担う新材料として注目されており、その研究開発が 現在さかんに行われています。

図2-1

PCとRC

文献1


2.3 構造形式による分類


固定橋       
可動橋

橋の構造にはまず固定橋と可動橋の区別があり、通常の橋はすべて固定橋です。 可動橋とは船舶が水路を航行するときなどに開いたり、回転したり、上昇したりすること ができる橋のことです(図2-2)。 ロンドンのテームズ川の タワーブリッジ(写真2-5)、 ゴッホの絵にみられる跳ね橋(写真2-6)などは可動橋です。

旧国鉄佐賀線の筑後川橋梁(写真2-7)も可動橋ですが、ふだんは橋桁があがっていて列車 が通るときだけ橋桁がおりる面白い可動形態の橋でした。 佐賀線廃止で現在は使われていませんが、保存されて町おこしに活用されています。 墨田川の勝鬨橋(写真2-8) も可動橋です。 最近レトロの町として有名になった北九州市門司にもブルーウィングもじが可動橋として架けられました。


図2-2

可動橋

文献1

写真 2-5

写真 2-6

写真 2-7

写真 2-8

タワーブリッジ

ゴッホの跳ね橋

筑後川橋梁

勝鬨橋

文献8

文献1

文献9




      桁(けた)橋  単純桁橋 連続桁橋
トラス橋
アーチ橋  アーチ橋 複合アーチ橋
ラーメン橋
吊橋 
斜張橋



橋の基礎知識


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図 2-3

図 2-4

図 2-5

図 2-6

橋の名称

吊橋とアーチ

曲げ抵抗

鉄筋コンクリート

文献18

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橋の主要部材の構造から、桁を水平に架け渡した桁橋、桁を曲げて支承部に水平力が作用 するアーチ橋およびラーメン橋、ケーブルを主構造とした吊形式橋に分類することができ ます。

まず,主として曲げによって外荷重に抵抗する橋の形式について説明します. 単純桁橋とは桁を2つの支点で支持した橋、連続桁橋は桁を3つ以上の支点で支持したも のです(図2-7(上段))。 連続桁に適当にヒンジを設けた橋はゲルバー桁(図2-7, カンチレバー橋ともいわれます)とい われ、力学的には力のつりあいのみで解析することができます(静定構造といいます)。 支点と支点との距離を支間長あるいはスパン長といいます。

図2-7(中段)に示している構造形式をラーメン(Rahmen(独))といいます。英語ではフレーム(frame)です。

図2-7(下段)のような形状がトラスです。 個々のトラス部材には圧縮あるいは引張の軸力が作用していますが,上弦材には圧縮力,下弦材には引 張力が作用しており,トラス全体としては曲げにより抵抗しています.


図 2-7

図 2-8

図 2-9

桁・ラーメン・トラス橋

アーチ橋

斜張橋・吊橋

文献18

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図2-8のような形状がアーチです。圧縮力によって外荷重に抵抗します. アーチ橋もヒンジの数によって2ヒンジアーチ、3ヒンジアーチ、固定アーチの区別があ り、これらにタイドアーチを含めた4形式を 無補剛アーチ と呼びます。 補剛アーチ橋 は交通路となる桁に曲げ抵抗機能をもたせた形式で、ランガー橋、ローゼ橋、ニー ルセンローゼ橋があります。 また、アーチ部材が下に凸の場合には逆アーチ、逆ランガー橋などと呼ばれます。


図 2-10

図 2-11

図 2-12

吊橋の形式

ケーブルの張り形式

塔形状

文献7

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吊形式橋には斜張橋(図2-9(上段))と吊橋(図2-9(下段))があります。 長大橋はもっぱら吊形式橋で建設されています。

斜張橋は図2-9(上段)に示すようにケーブルを主塔から斜めに直線的に張ったもので、ドイツ のライン河に第2次大戦後数多く建設されています。 「ライン河橋梁」には斜張橋がどんなふうにできていったかが記 述されています。 斜張橋にはケーブルの張り形式によりラジアル、ファン、ハープタイプ(図2-10)、ケーブ ル面数による分類、また、塔形状、主桁形状など種々のタイプ(図2-11)があります。 経済性、景観などの理由から、日本でも近年数多く建設されています。 横浜ベイブリッジ、鶴見つばさ橋などが斜張橋です。 長崎県でも大島大橋、女神大橋は斜張橋として建設されます。

吊橋には主ケーブルから桁を吊り下げただけの無補剛吊橋と局部的な載荷や風荷重による 変形や振動に抵抗する補剛桁を有する補剛吊橋があります。 また、ケーブルと桁の支持状態によって図2-12のように分類されます。 建設例が多いのは3径間2ヒンジ吊橋で、連続吊橋は鉄道を通す場合のように走行性が問 題になるときに採用されます。 また、ケーブルに生じる引張力を地盤に固定する他定式吊橋と床版や桁に負担させる自定 式吊橋があります。 ドイツでは他定式吊橋を「真の吊橋」と呼んでいます。 現代の超長大吊橋はほとんどが他定式の補剛吊橋で構成されています。


なお、橋の側面の部分(腹材、ウェブ)の形式により、フルウェブ、トラス、フィーレンデー ルに分類されます。 フルウェブは最も普通のタイプで主桁がソリッドな橋を総称したものです。 トラスは多数の部材を三角形に組合せて主桁としたもので単一部材は圧縮か引張りの軸力 抵抗部材となります。 また、交通の通行位置に応じて上路橋、下路橋、中路橋に区別されています。


橋を設計するためには,まずどのような力が作用するのかを把握する必要があります. 図2-13に,橋に作用する荷重を示します.



図2-13

橋に作用する荷重

文献7

橋の文化とテクノロジー

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